穴についておもうことがあるのだけれど、穴にはまってやめました

本に触れるときは極力素手で触れるようにしている。いいろいろ伝わる。でも、この寒い時期外で本に触れているとあっという間に傷だらけ。そうでなくても本屋での仕事に生傷はたえない。小説、哲学、実用書、そのたもろもろ、その隙間、影に、隠れている傷たちの数々。本屋で働く乙女は大変である。で、外の均一の補充やお手入れ、開閉店の作業時のみ軍手を使うようにしているのだけれど、穴があきました。

軍手汚れてますね。すみません、写して。

明日で店内の雑誌FAIRは終了です!
ユリイカ美術手帖現代思想などは300円。
東京人、太陽、キネマ旬報芸術新潮エピステーメー、インターコミュニケーション、ZOOM、カーサブルータス、ミュージックマガジンなどなどは100円。文芸雑誌などもあります。種類たくさん。
結構売れてしまっているものありますが、まだまだあります。へるめすはおかげさまで50数冊まとめてお買い上げ。これも1冊100円でした。太陽も100円でビシビシ売れております。ありがとうございます。


数年前、渋谷の新刊書店の雑誌売場につとめていた。複数階の一階ということもあり、問い合わせの窓口にもなり、売っているものは雑誌で、なにかと人が多くいる売場だった。そのときのことを、さっき書いた軍手のことで思い出したので少し。
とにかく人がいて、レジを4台(親機が別に1台)を全部開けて数時間列がなくならないことがほぼ毎日。池袋のJ店ぐらいレジ数があって、問い合わせのカウンターがあればいいけれど、こちらは各階にレジがあり、問い合わせのカウンターはない。雑誌売場のレジがそれをかねている。だから本を探すのにわざわざ並んできくのが億劫な方は、レジの遠くから列越しに『あの○○どこ?』みたいなのを聞かれることが普通だったので、『そちらの棚をまっすぐ行かれて、二列目の大きな棚の、真ん中より少し下の、端の方でございます。』なんてやっていた。もう慣れて、怒る気もしなかった。そんな感じなので、補充をしたりというのも隙間をぬい、ぬい、ちょっとレジがすいたときにピシャッと『レジ休止中』の看板立てて、奥の執務室という名の在庫部屋に走る。本当に走ってました。で、梱包によりまちまちな冊数の雑誌たちを、必要な分持ち出して、また走る。走ります。普段は2、3梱包だけど、こういうときは7、8梱包は持つ。平均して20〜30冊程度で梱包されていることが多いから、200冊ぐらいは抱えていたのかな。で、走る。で、つまずく。なので、こける。雑誌の梱包ドカーン!ズルーン!シャー!わたしと梱包はいくらかの距離を飛んだ。幸いまわりにお客さんのいないところでこけた。気が付くと半泣き。『しまった!やってしまった!やん、恥ずかしい。』とか、そういう感情が出るよりもはやく涙が出ていた。床に結構な勢いでぶつかったから体が驚いたんだろうな。泣笑いしながら、飛んでいった梱包を片付けました。ストレンジャーですね。

それと、もうひとつ。その執務室は在庫部屋になっているので、梱包された雑誌が常に山積み。2、3坪かな。まあ小さな部屋です。そこで日々、入荷してくる雑誌や、バックナンバー用の在庫、とかいろいろのもをきれいに並べて積むのです。きれいにというのは、キチッと積まないと崩れるし、入らないんですね。狭いですし、量もあります。で、そういう作業を汗だくでやりながら、時には自分の身長と変わらない山たちを作ったり、崩したり、たまには靴を脱いで雑誌の山を歩いたり、登山登頂ですね。で、その日は大きな山の真ん中の一番下の在庫が取りたくて穴を掘り、片手でようやく届くかな、ってところまで来て、その一番下の雑誌を掴んだ。で、引っ張った。そしたら、その雑誌は思いのほか重くて、まわりともキッチリガッチリしているので上がってこなかった。なので、わたしが引っ張られて、穴に落ちた。誰もいない部屋で、すすんで犬神家を。『死ぬ!』と思いました。そこからの数分間の格闘がありますが、それはいいです。

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うすだ