いまからさきにいきませう - ちいさな古本博覧会

日曜日。まずまずの天気。くしゃみは花粉のせいだけでなく、太陽の光を浴びることでも出るらしい。と、もっともらしく書き出してみます。手がかさかさして黒っぽい本を触ると摩擦で裂けそう、しわが。摩擦、しわ、亀裂、まったくよくない響き。そしてそのどれもに最近親しいわたしです。

こころに油はどうさすの？あずま通りを抜けると垂直に早稲田通りが走っている。あずま通りは一応そこまであり、高円寺駅方面からそこまで来る人そんなにいない。古楽房もどちらかといえばこのあたり、駅からは少し離れたところにある。で、その奥の方にいくと魚屋、肉屋、惣菜屋、小さな商店がすこしある。いろいろあるのは反対側の庚申通りだけれど、それは置いときます。その商店にひとつ、今で言うコンビ二のような、昔ではなんといったか知らないが、まあ商店ですね。あるんです。おばさんがいつもひとりストーブを前にして、レジだけ置くようなちいさな事務机みたいなのの横にちょんと座ってる。色つき眼鏡が大きめの小柄なおばさん。『いやあん、さむいでしょお』とだいたい上着を着ずに小走りでやってくるわたしにお決まりの一言。いつも笑ってる。やかんも沸いてる。で、今日も１００円のお菓子を選んで渡したらお釣りを間違えた。５００円渡して、お釣りが２００円。すぐにそれに気が付いたおばさんが一生懸命照れながら、『ごめんね、ごめんね』と笑いながらお詫びとしょうしてくれたのが、このさくらあんぱんでした。